今回は、「投資賢者の心理学」の書籍レビューです。
この本を一言で言うと、「行動経済学の視点から、資産運用で陥りがちな罠を紹介してくれる本」です。
「投資はしているけど、損ばかりしている」、「結局、どうすれば勝てるの?」と思うことはありませんか?
そんな疑問に対して、助言をしてくれるのが、本書です。
行動経済学の視点から、人間がつい犯してしまう心理行動が、資産運用における失敗に繋がるということを教えてくれます。
本の概要
タイトル:投資賢者の心理学
著者:大江 英樹
初版:2015年7月15日
発行所:日本経済新聞出版社
こんな人におすすめ

「投資を始めて間もない人」におすすめです。
本書を読むと、投資家が犯してしまいがちな失敗を沢山知ることができます。
その失敗例を学ぶことで、失敗を事前に防げるかもしれません。
また、「自身の投資スタイルが定まってない人」にもおすすめです。
投資スタイルが定まってない人は、人間の本能のままに投資行動を取ってしまいがちです。
本能のままに動くと、投資は損をすることが多いです。
本能のままに動くと、なぜ損をしてしまうのかを本書で学ぶことができます。
それを学ぶと、自身の投資行動を客観視でき、改善に繋がります。
この本を読んで分かること

①資産運用で思いがちな勘違い
本書では、資産運用の7つの勘違いを紹介されています。
初心者が思いがちな勘違いだけでなく、投資上級者でも思いがちな勘違いまで、幅広く紹介されています。
その中でも、私が衝撃を受けたものを一つ紹介します。
「サラリーマンはお金持ちになれない?」です。
お金持ちと言えば、経営者、芸能人などのイメージがありませんか?
そのような人に憧れる人は多いと思います。
しかし、そのような人達の収入は安定していないことが多いです。
安定した莫大なお金を手に入れられるのは、ほんの一握りです。
そんな不安定な職業よりも、安定して収入が得られる「サラリーマン」が資産形成には向いていると筆者は主張しています。
資産形成の大原則は「入ってくる以上に使わない」です。
サラリーマンは毎月ある程度決まった額が、給料として入ってきます。
出費に関しても、特別な出費を除いて、家賃・食費・通信費など大まかな金額は予測できます。
「入」と「出」がはっきりしており。計画的に資産形成しやすいのです。
それにも関わらず、お金持ちになれないのはなぜでしょうか?
そこに行動経済学が関係してくるのです。
「現在バイアス」と「双曲割引」の二つの人間心理が影響していると書かれています。
「現在バイアス」は嫌なものを早くやるのに越したことはないと分かっていても、つい目先の利益を優先させてしまうことです。
例えば、将来のために貯金すべきだと分かっているけど、ブランドの服をついつい買ってしまうことです。
「双曲割引」は遠い将来に得られる利益の価値を大きく割り引いてしまうことです。
10年後に貰える1000万円と今貰える1000万円は金額としては、同じです(インフレの影響は考慮していません)。
しかし、10年後に貰える1000万円には、今貰える1000万円分の価値がないように感じてしまいます。
この二つの心理から、貯金もしくは投資をする意味を感じられなくなり、散財してお金持ちになれなくなってしまうのです。
さらに、これらの心理は人間の本能なので、メンタル強化でどうにかなるものではありません。
では、どうすればいいのか。
強制的に投資、貯蓄できるシステムを構築すべきです。
給与天引きによって、貯蓄用口座に移す、もしくは証券口座に移すことです。
これは多くの投資本でおすすめされていることです。
それだけ、有効な方法ということです。
やっていない方は今すぐにやってください。
②ナンピン買いをしたくなる理由
持ち株があまりにも下がって、損が出ている状況だと、ついついナンピン買いをしたくなりませんか?
私もしてしまいます(笑)
本当に割安でお買い得であれば、買い増しをしても問題ありません。
しかし、単に購入単価を下げるために、買っているのであれば、非常に危険です。
株数が増えるので、リスクが上がってしまうためです。
そんな非合理な行動のナンピン買いをなぜしてしまうのでしょうか。
それを行動経済学の視点から、解説してくれています。
ナンピン買いをしてしまう理由を理解すれば、「こう思っているから、ナンピン買いをしようとしている」と自分を俯瞰的に見ることができます。
俯瞰的に見ることで、自分って馬鹿だなと、買いを思い止めることができるかもしれません。
ぜひ、本書でナンピン買いをしてしまう理由を勉強してみてください。
まとめ
今回は、「投資賢者の心理学」の書籍レビューを書いてみました。
本記事で紹介したもの以外に、人間が犯してしまう不合理な投資行動について、分かりやすく解説してくれています。
この本を読めば、自身の投資行動を見直すことができるので、ぜひ書店で手に取ってみてください。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。

コメント